天神の系譜の奇妙なオムニバス
言われるままに、ティグルと共に砂浜まで歩いて行くリュート。

星の瞬く夜。

満月が煌々と輝いている。

「只の散歩って訳じゃねえんだろ?」

リュートがティグルの背中を見ながら言った。

「こんな所まで連れ出すんだ。何か訳あるんだろ?」

「そうだねえ」

ティグルは笑顔で振り向く。

「天神学園に来て日が浅いけど、リュー君は強くなったねえ。あのダンピール相手に、左腕の負傷程度で済むなんて。天神学園に来る前のリュー君なら、殺されちゃってもおかしくなかったけどね」

「うるせっ」

顔を顰めるリュート。

「でも」

ティグルの顔から、笑顔が消えた。

「今のままじゃあ、ダンピールには勝てないかな」

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