天神の系譜の奇妙なオムニバス
龍娘は、久しぶりの天神学園の光景を眺める。

《ははぁん…そういう事か》

「何がだよ」

訝しげな顔をするリュート。

…龍娘は、工事中の天神学園校舎を見ている。

《あの壊れっぷり…ヴラド辺りの仕業だろう。生前は魔力だの魔法だのには疎かったが、英霊になってからはよく分かる。学園中に、精霊だの魔力だのの力が漂っているな》

「そうなのか?」

周囲を見回すリュートだが、精霊術よりも拳闘術寄りの彼にはよく分からない。

《お前の祖父…シオン・グリフィノーらが、この学園で派手な技を使った頃から、この敷地内は精霊や魔力が滞りやすくなっているのだろうな》

龍娘が言うのは、シオンが禿鷲を倒した大技、『メメントモリ』の事だろう。

《古来より天神の地は、様々な種族人種が集う土地柄や、桜の結界のせいで、魔力が濃い地であったらしいが…人々の想いなども影響して、私のようなのが顕現し易くなったのだ》

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