天神の系譜の奇妙なオムニバス
思い切り馬鹿にされた気分だ。

ベルの機嫌が、斜めどころか引っ繰り返る。

「いい。行かない」

頬を膨らませて、そっぽを向く。

「何だ、遠慮をするなマスター。その為にわざわざ浴衣など着てきたのだろう。祭りに対する気合というものがひしひしと伝わってくる」

「行かない」

「無理はするものではない。来年まで催されないのだろう?棒に振ると後悔するぞ」

「行かない」

ベルは背を向けたまま、尖った言葉で言う。

「1人で行ったってつまんないもん」

< 295 / 770 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop