天神の系譜の奇妙なオムニバス
風切り音、後に薙ぎ払われる前髪!

男の抜刀した刃が、リュートの前髪を数本刈った。

髪だけで済んだのは、偏にリュートの反射神経の為せる業。

「用済みだ、グリフィノー家の御子息。余計な詮索は無用に願おう」

「人に物訊ねといて、礼も言わずに名乗りもせずに、その言い草はねぇんじゃねぇか?」

自然と、リュートの両手が握り拳になる。

「…消しますか。ここは見廻組の任務が優先…」

男達の1人が不用意に口にした言葉を。

「馬鹿者!」

リーダーらしき男が制した。

「見廻組だぁ?校内の見廻りか?おめぇら用務員か?宿直か?」

それは小岩井さんです。

「已むを得ん」

男達全員が抜刀した。

「ここで消す。グリフィノーの人間とて構うものか」

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