天神の系譜の奇妙なオムニバス
「もういい!」

刀折られ、目的を果たすどころか逆にこちらの情報を知られ。

どこかの間者とすれば、何ともお粗末な仕事ぶり。

「だがこちらの知りたい情報も知り得た。退くぞ」

リュートには目もくれず、即座に退散する男達。

「あ、おい待て!」

嫌な予感がする。

逃げる相手まで追って叩きのめすような趣味はなかったが、今回は別だ。

リュートは男達を追跡する。

まだシルフの風を纏ったままの彼の両足は、走る速力さえも高める。

逃げる男達を、しなやかな獣の如く追いかけ、追い詰め、校舎の角を曲がった所で。

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