天神の系譜の奇妙なオムニバス

「校内を走ってはいけません」

学園長秘書・花龍の操る森の精霊ドリアードの蔦によって、男達は絡め取られた。

「花龍」

「こら、私は歳上ですよ。呼び捨てはいけません」

リュートを軽く窘める花龍。

「でも…感謝するわ。夏休みなのを利用して、校内に部外者が入って来ているのを、桜の結界が教えてくれてね」

以前語った通り、桜の結界は悪意を持つ者や邪悪な者に反応する。

花龍にそれを知らせたという事は、この男達は部外者、しかも悪意を持つ者達に他ならない。

「さて…貴方達は何者なのかしら…私に話すのと、ヴラド学園長直々の質疑を受けるのと、どっちがいいですか？」

薄く笑う花龍。