天神の系譜の奇妙なオムニバス
リュートの顔から、笑みが消えた。

「ヒノモトをいい方向に導く為とはいえ、僕もいっぱい幕府の人間を殺したんです。見廻組の事だけ悪くは言えません。維新政府の偉い人に命じられるままに、大した考えもなく、言われた通りに次々と人を…」

言いかけた沖田の頬を。

「っ!」

リュートは思い切り殴る。

転倒する沖田。

「リュート君!」

雪村と花龍が、リュートを止める。

「うん、人を殺すのはよくねえ!お前は悪い奴だ!」

沖田に言うリュート。

「だから殴った。だけど…戦争ってそういうもんだって俺も教わった。悪いのは分かってても、時代の流れや大局の流れで、そうせざるを得ない状況に追い込まれるんだって」

倒れた沖田を、リュートは引き起こす。

「だから、これ以上はお前を責めねぇ。殴って悪かった」

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