天神の系譜の奇妙なオムニバス
「な…ひ、姫っ?」

ちょっとおかしな設定好きの、普通の女の子だと思っていた古奈美が、勅使河原幕府の将軍の娘などというポジションだったとは。

驚くリュート達に構わず、沖田は続ける。

「侵入者…見廻組は、勅使河原さんを探していると言ったんですよね?幕府が敗走して、落ち延びた勅使河原さんを守りに来たのか、それとも別の目的があるのか…」

「沖田は、維新政府の人間なんだろ?なら何で幕府の人間の古奈美を守ろうなんて…」

「リュート君」

沖田はリュートの言葉を制する。

「人殺しでも、戦が終われば普通の人間です。姫というだけで戦いに振り回された勅使川原さんを、僕は守ってあげたいです」

それは、以前斎藤の前で言った言葉とは違う、沖田の心からの言葉だった。

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