天神の系譜の奇妙なオムニバス
彼らはそうなのだ。

侍としての信念、揺るぎなき魂。

それ以上に、死んでも維新政府軍に刃向かい続けろと教え込まれた戦闘機械。

それが見廻組という集団。

幕府の精鋭特殊部隊だ。

幕府を存続させる為に、星を渡り、落ち延びた将軍の娘を連れ戻しに来るほどの執念。

妄執と言ってもいい。

「さあ」

男子生徒は手を差し伸べる。

「参りましょう、姫。多くの同胞が貴女を待っています」

「……」

俯く。

古奈美は何も言えなかった。

戦を始めた父が、自分が、彼らをこうさせてしまった。

それなのに、自分は真っ先に天神地区に逃げ出して…。

自分には責任がある。

戦争を始めた者として、最期まで彼らに付き合う義務がある。

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