天神の系譜の奇妙なオムニバス
「違うよ!」
男子生徒の手を取ろうか否か、葛藤していた古奈美を引き留めたのはベルの言葉だった。
「将軍の娘だか何だか知らないけど、姫様の義務の前に」
ベルは古奈美の肩を摑む。
「人間としての義務があるじゃない!生きなきゃ!生きてなきゃ!だから将軍(おとうさん)は、古奈美ちゃんを天神地区に逃げさせたんじゃないのっ?戻ったら責任放棄だよ!無責任だよ!」
「っ……」
息を飲む。
姫としての義務の前に、人間としての義務。
時代に流され、立場に流され、今まで自分の意思で動かなかった古奈美に突きつけられる、ベルの厳しい言葉。
「戦を知らぬ太平のぬるま湯に浸かった者の言葉に耳を貸してはなりません、姫」
男子生徒は、差し伸べた手を引こうとはしない。
「さあ、姫。参りましょう」
その手に。
「…ごめんなさい」
古奈美は真っ直ぐに視線を向けた。
「新時代を…生きて下さい」
男子生徒の手を取ろうか否か、葛藤していた古奈美を引き留めたのはベルの言葉だった。
「将軍の娘だか何だか知らないけど、姫様の義務の前に」
ベルは古奈美の肩を摑む。
「人間としての義務があるじゃない!生きなきゃ!生きてなきゃ!だから将軍(おとうさん)は、古奈美ちゃんを天神地区に逃げさせたんじゃないのっ?戻ったら責任放棄だよ!無責任だよ!」
「っ……」
息を飲む。
姫としての義務の前に、人間としての義務。
時代に流され、立場に流され、今まで自分の意思で動かなかった古奈美に突きつけられる、ベルの厳しい言葉。
「戦を知らぬ太平のぬるま湯に浸かった者の言葉に耳を貸してはなりません、姫」
男子生徒は、差し伸べた手を引こうとはしない。
「さあ、姫。参りましょう」
その手に。
「…ごめんなさい」
古奈美は真っ直ぐに視線を向けた。
「新時代を…生きて下さい」