天神の系譜の奇妙なオムニバス
校舎2階では沖田が、中庭では佐助が、3階ではダンドリッジが、見廻組相手に大立ち回りを演じている。

その他各所でも、自警団隊長達の指揮の下、隊員達が見廻組を抑える。

まるで合戦の様相を呈している。

「これ、みんな古奈美ちゃんを狙ってるのっ?」

古奈美と手を繋ぎ、息を切らせながら走るベル。

「ごめんなさいっ、ごめんなさい…っ」

古奈美はひたすらに詫び続ける。

…こうなるのが恐ろしかった。

自分たった1人の為に、護る側と狙う側に分かれて戦いが起きる。

それが嫌で、自分の事を誰も知らないこの地に来たのに、この地でも自分たった1人の為にまた争いが起きる。

もう嫌なのだ、戦は。

「ごめんなさいっ…ごめんなさいっ…」

俯いたまま、ひたすらに謝る古奈美。

謝るしかない。

謝り続けるしかない。

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