天神の系譜の奇妙なオムニバス
佐々木は横たわるベルを跨ぐ。

「姫、もうお戯れは十分でしょー。帰りましょう、ヒノモトへ」

佐々木の表情には、微笑みさえあった。

「とっ散らかしたヒノモトの状況、ちゃんと片付けないといけませんから。片付けられるのは、慶晃公の正統後継者である貴女しかいないんですよねえ、あとは片付けられない連中ばっかりで」

何とか阻止しようと、ベルが佐々木のズボンの裾を摑む。

しかし彼は、それを蹴り払った。

「その為に、見廻組総出でお迎えに上がったんですよ。あまり長い事見廻組がヒノモトを留守にすると、本当に幕府軍は維新政府軍に負けちゃいますから」

「…ければいいんです…」

「え?」

古奈美の小さな声に、耳を傾ける佐々木。

「私の友達を傷つけるような幕府軍なんて、負けちゃえばいいんですっっっっっっ!」

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