天神の系譜の奇妙なオムニバス
そんな訳で、籍こそ橘にあるものの、ダンドリッジは天神地区の一角にある、朽ち果てて久しい洋館に勝手に侵入し、そこを塒としている。

地主が『売物件』とか看板立てちゃってる洋館だが、そんなの御構い無しだ。

いまやホームレス吸血鬼が住み着いていると専らの評判。

恐れられてるんだか、そうでもないんだか。

「構うものか」

ダンドリッジは言う。

「アメコミのスー〇ーマンでさえ、普段は冴えない新聞記者の姿で世を忍んでいる。天神のバットマンと呼ばれるこの俺も、普段はホームレス吸血鬼として世を忍べばいいのだ」

忍べていないから、全然。

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