天神の系譜の奇妙なオムニバス
「まぁいい」

ヴラドは面々の前に、ボトルを置く。

「イタリア・プーリア地方原産の赤ワイン、コレッツィオーネ・チンクアンタだ。鮮やかで濃い赤紫色、ブラックベリーやプルーンを煮詰めた様に濃縮した果実味、ほんのりとスパイスのニュアンスに、バニラやリコリスなどのアクセント。滑らかで長い余韻が…」

あー、うるせーうるせー。

「ともかく」

ヴラドはワインのボトルを置くなり、さっさと戻っていく。

「戦の後の固めの杯だ。貴様ら有象無象には惜しいくらいの高級ワインだがな」

学園長なりに、生徒達の労を労っていると言った所か。

「学園長もなかなか話が分かるじゃねぇか」

嬉々としてボトルに飛びつくリュートだったが。

「駄目です!」

古奈美がそのボトルを取り上げ、リュートを殴打!

「何考えてるんですかリュート君!お酒は二十歳になってから!そんなのプリティープリンセスとよい子のお約束基本編です!率先して未成年がお酒を飲もうなんて、アクアク団の魔の手に引っ掛かってどうするんですか!」

古奈美、リュートが白目剥いてるからやめて差し上げろ。

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