天神の系譜の奇妙なオムニバス
リュートの蹴り足が、ティグルの金髪を掠めていく。

速い。

リュートは精霊術を拳闘術の補助にしていると言っていた。

成程、こういう事か。

「えいっ」

回避行動をとりつつ、レーヴァテインの切っ先を突き出すティグル。

刺突という技は、剣術の中でも殺人技に位置する。

木刀でさえ、当たり所か悪ければ命を奪ってしまう。

だからアマリリスは思ったのだ。

遊ぶなんて嘘だ。

ティグルは実の弟を殺す気で、仕掛けているのだと。

しかしそれにしては。

「うわっと、あっぶねぇなティグてめぇ」

グリフィノー拳闘術・氷の型で、両手に氷を纏わせ、レーヴァテインを弾くリュート。

攻められているリュートも、その表情から笑みは消えていない。

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