天神の系譜の奇妙なオムニバス
如何に天神地区で名高い流派・夕城流とて、国宝級の天下五剣を、そうおいそれと自分のような芋侍に与えられるものなのか。

些か懐疑的な表情を見せる沖田に。

「…案ずるな」

真太郎は薄く笑った。

「我が夕城流の四季・色彩銘刀以上の天下五剣を、貴様に与えられるほどの甲斐性は、流石の俺にもない。更に言えば、貴様が先程まで使っていた加州清光も、真打(本物)ではない」

「え」

目を丸くする沖田。

しかし写真で資料を見ただけであるものの、これまで沖田が持っていた清光はまごう事なき本物。

あれが、贋作などという事は…。

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