天神の系譜の奇妙なオムニバス
鹿威しがあったり、掛け軸が飾られていたり、生け花が置いてあったり、やや統一感はないものの和テイストを前面に押し出した店内。

カフェなどよりは、リュートは入り易くて好みだ。

「私もこの方が好きですよ。ヒノモトも、こっちの世界で言う和風な感じの国ですから」

古奈美が頷く。

…それにしては、恐らく店員を務めているのであろう佐助の姿はない。

「あんにゃろ、また天井裏に隠れてんのか?」

「注文とか、どうすればいいんですかねぇ?」

厨房の方を覗こうとした古奈美。

その目の前を。

「!?」

何かが高速で通過し、壁に突き刺さる!

「古奈美!」

リュートが思わず駆け寄る。

「怪我はねぇか?」

「は、はい、大丈夫です…」

目を白黒させる古奈美。

一体何だ?

古奈美がヒノモトの姫である事を知る者の襲撃か?

壁に突き刺さった何か…隠密が使用する苦無の方を見るリュート。

苦無には、小さなお品書きがぶら下げられていた。

天井裏から声がする。

「ご注文がお決まりでしたらお呼び下さい」

「佐助、テメェ…」

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