天神の系譜の奇妙なオムニバス
「そんな彼女達を」

沖田は火の前に座ったまま、肩越しに振り向いた。

「貴方は狙いに来たんですか?」

「…応」

山中の闇の中で、声がする。

街中よりも、更に暗い山中の闇。

そんな中でも、沖田の夜目は確かに声の主を捉えていた。

巨漢だ。

忍び甲冑にも似た軽装の鎧を身に付けている。

そして何より目を惹くのは、その醜悪な顔。

顔だけではない。

肌の露出した上半身が、酷く爛れていた。

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