天神の系譜の奇妙なオムニバス
天守閣。

その雷は、白き衣を纏って古奈美の前に立った。

見慣れた、張り詰めた背中の筋肉を包み込む空手着。

「誰だ貴様は」

東郷が、大きな眼でギョロリと睨む。

「テメェこそ誰だ」

リュート・グリフィノーは東郷を睨み返した。

彼は振り向き。

「古奈美、コイツ誰だ」

無礼にも指差す。

古奈美の瞳から、溢れる涙。

「リュート君…待っていました…怖かったです…」

「んだよ、お前が来んなっつった癖に」

顔を顰めるリュート。

「…東郷、コイツは殺しても?」

伊蔵が言う。

「…決起した以上、立ちはだかれば皆が敵だ」

「言質は取った」

東郷の言葉を受け、リュートに斬りかかろうとする伊蔵。

しかし。

「!」

鎖分銅で結ばれた沖田が、伊蔵を引き戻す。

「つれないですね。僕を捕まえたのはそっちの癖に」

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