天神の系譜の奇妙なオムニバス
やっと平静を取り戻したというのに、混乱極まる。

「どうするのだマスター」

「いいんじゃない?」

大騒ぎを他所に、ベルはどこ吹く風。

結局の所、この国も根っこの所は天神と同じノリのようだ。

今日は穢土に瓦版、絵草子、号外の雨あられといった所だろう。

「困ります、古奈美姫」

東郷の乱を鎮圧したと聞いて出向いてきた大久保が、困惑顔で言う。

「姫の婚約は、まだ下々の民には伏せておいたというのに…」

「いいじゃないですか大久保さん、何れバレる事ですよ」

沖田が笑う。

「戦続きの世の中です。少しは明るい話題があった方がいいですよ」

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