天神の系譜の奇妙なオムニバス
このままヒノモトに留まれば、混乱は更に大きくなるだけだ。

「リュー君」

ティグルが声をかける。

「僕は先にお暇するよ。騒がしいのは嫌いじゃないけど、このままだと帰らせてもらえなくなるしね」

「おぅ…手間かけたな、ティグ」

リュートが古奈美の危機に間一髪間に合ったのは、ティグルに無理な術式の転移魔法陣を頼んだお陰だ。

本来、ヒノモトには転移魔法陣は繋がっていなかったのだから。

「他の惑星に勝手に転移なんて、お上に叱られちまうか?」

「大丈夫、そういうの誤魔化すの得意だから。それより…」

ティグルはニッと笑う。

「ミルトゥワにも、ちゃんと婚約報告来なきゃ駄目だよ?母さんもアマリリスもリプニーおばあちゃんも、話を聞きたくて仕方ないのに、リュー君がそれどころじゃねぇ!って今回はヒノモトに来ちゃったんだから」

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