天神の系譜の奇妙なオムニバス
「気が重てぇなぁ…」

きっと根掘り葉掘り訊かれて問い詰められて冷やかされるに違いない。

がっくり肩を落とすリュートだが。

「是非」

古奈美はリュートの手をグイと引き寄せ、ティグルに言う。

「是非ともお伺いさせて頂きます。今回は本当に有り難うございました。ヒノモトの姫として、厚く御礼申し上げます」

「堅苦しいのは無しだよ、可愛い妹に、そんな難しい言葉使われたら敵わないや」

ヒラヒラと手を振るティグル。

それを見送る取り巻き達が、またざわめく。

「あの御仁は?」

「古奈美姫を妹と言ったぞ?という事は、リュート様の兄上…?」

「ではあのお方が、次世代勇者と呼び声の高いティグル・グリフィノー様かっ?」

「勇者か!勇者がこのヒノモトをお救い下さったのか!」

「勇者万歳!」

リュートの活躍帳消し。

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