天神の系譜の奇妙なオムニバス
古奈美が婚約だの、グリフィノーの子息が将軍になるかもだの、噂が噂を呼び、どんどん民衆が集まってくる。

そう簡単に天神には帰れそうにない。

何せ、天神に繋がる関所は穢土にあるのだ。

ほとぼりが冷めるまで、ヒノモトに滞在という事になるだろうか。

夜になっても、やんやと喝采を上げる民衆の声は止まない。

終いにはその場で酒樽を開けてしまう者も現れる始末だ。

仕方なく、リュート達は籠島城で一夜を明かす事となる。

「籠城戦だな…戦いはもう終わったってのに」

天守閣から外を覗き、溜息をつくリュート。

兵糧攻めはないものの、長期戦になりそうだ。

…まだ、手は握られている。

古奈美は放そうとしない。

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