天神の系譜の奇妙なオムニバス
「天神の地は、誰の所有地という訳ではない。拙者達に気兼ねせず、ゆるりとしていくとよいでござる」

青年に告げる北斎。

「…心遣い…かたじけない」

もう一度一礼し、場を立ち去ろうとして。

「血の匂いがするな」

そんな言葉をかけられ、青年は足を止めた。

…木の上から、ヴラドがこちらを見ている。

「誰かと仕合って、血を流したか流させたか…まぁ貴様が武芸者なら、然して不思議でもないがな。それにしてもこの血の匂い…ただ勝ち負けを競う腕比べという訳ではなさそうだな。命を賭した真剣勝負でもしてきたか?この国は時代が変わり、殺し合いの斬り合いさえなくなったというのに」

「……」

青年は、ヴラドを見る。

「俺の流儀は戦国時代に端を発する故…殺人術の色もある…」

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