天神の系譜の奇妙なオムニバス
「名を、聞いてよろしいか?」
北斎の問い掛けに。
「城山…いや…」
青年は言いよどみ。
「闇夜…と申す」
そう答えた。
その前に発した、城山という言葉。
名字ならば、青年の名は城山 闇夜(しろやま やみよ)という事になる。
「城山流…という流儀を知っているでござる」
北斎は言った。
「一子相伝、門外不出の武術…嘗て城山流はそう呼ばれ、恐れられていた。戦国の世で合戦といえば刀による斬り合い。無手での戦いになったとしても、甲冑を着たままなので、せいぜい柔術。そんな時代に、どんな堅固な鎧を着ていても関係のない『関節技』を駆使する城山流は、特に暗殺の技として畏怖され、諸国の大名に重宝されたと聞く」
「……博識だな」
目を閉じ、闇夜は呟いた。
「貴様は、その城山流とかいう暗殺術の継承者か?」
「いや」
ヴラドの問いには、闇夜は首を横に振る。
「城山流は俺の兄が継ぐ…同時に城山姓を名乗れるのも継承者の兄だけだ…俺は只の闇夜に過ぎん」
北斎の問い掛けに。
「城山…いや…」
青年は言いよどみ。
「闇夜…と申す」
そう答えた。
その前に発した、城山という言葉。
名字ならば、青年の名は城山 闇夜(しろやま やみよ)という事になる。
「城山流…という流儀を知っているでござる」
北斎は言った。
「一子相伝、門外不出の武術…嘗て城山流はそう呼ばれ、恐れられていた。戦国の世で合戦といえば刀による斬り合い。無手での戦いになったとしても、甲冑を着たままなので、せいぜい柔術。そんな時代に、どんな堅固な鎧を着ていても関係のない『関節技』を駆使する城山流は、特に暗殺の技として畏怖され、諸国の大名に重宝されたと聞く」
「……博識だな」
目を閉じ、闇夜は呟いた。
「貴様は、その城山流とかいう暗殺術の継承者か?」
「いや」
ヴラドの問いには、闇夜は首を横に振る。
「城山流は俺の兄が継ぐ…同時に城山姓を名乗れるのも継承者の兄だけだ…俺は只の闇夜に過ぎん」