天神の系譜の奇妙なオムニバス
ベルの母親、橘 すずは、『龍』を内に宿した橘 龍一郎と結ばれた。

どういう訳か、龍を内に宿した者は平穏な日常は送れないらしい。

或いは、丹下の血筋のせいなのか。

日々戦いに明け暮れ、生傷が絶えず、時には死にかける。

そんな男を選ぶ者もまた、並大抵の娘とは違う覚悟を試される。

顔を腫らし、包帯だらけで帰ってくる伴侶を、笑って癒してやるくらいの胆力なくして、『龍の花嫁』は務まらない。

「私は龍の花嫁じゃないけどね、お母さんにそう聞かされて育ったわ」

「…ベルさんのお母さんは…」

古奈美は呟く。

「ベルさんがダンドリッジ先生と結婚する事を想定していたんですね」

「な、何でそうなるのよっ!」

そうとしか思えません。

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