天神の系譜の奇妙なオムニバス
佐助は上衣を脱ぎ、更に鎖帷子さえも脱ぎ捨てる。

上半身の鍛え上げられた筋肉が露わになる。

「貴方のような恐ろしい剣客がいたのなら…古奈美殿には悪いが、勅使河原幕府は敗北する訳だ」

「政府が勝ったのは時代の流れに過ぎない。僕がいたからじゃありませんよ…で」

沖田は棒立ちのまま佐助を見た。

「何故鎖帷子を?絶対的有利を自分から捨てるんですか?」

「斬られた鎖帷子など、何の有利でもありません。寧ろこのようなものがあるという油断が、命取りとなる。ならば」

背中の鞘を手に、佐助は毒狼を納刀する。

「食らえば斬られる…その背水の陣で臨む事で、勝機を見い出す」

「……」

無言のまま、大典太を納刀する沖田。

両者とも構えは同じ。

片膝が地面に着くほど低い姿勢の、居合の構え…。

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