天神の系譜の奇妙なオムニバス
向き合ったまま、動かない。

その睨み合いは、殊の外に長かった。

30秒、1分、2分、2分半…。

極度の緊張状態で、沖田の頬から汗が流れ、顎先まで伝って地面に落ちる。

それでも両者動かない。

緊張が揺らぎ、集中力の糸が切れるか。

或いは動かない相手に焦れて先手を取るか。

所謂『後の先』を取った方が勝利する。

そして睨み合いが、4分に達する頃。

「っ!」

動いたのは沖田!

残像すら見えるほどの音超えの動きで、鞘内から大典太を抜き放つ!

刹那遅れて佐助!

居合には向いていない忍刀である毒狼を、打ち負ける事なく抜刀する!

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