天神の系譜の奇妙なオムニバス
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

ややおぼつかない足取りで、リュートが歩く。

随分と空手着が薄汚れていた。

古奈美に贈ってもらったヒノモトの縫製の純白の空手着は、血と汗と埃で、純白とは呼べないものになってしまっている。

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

少し、休みたい。

リュートはフラリと、目についた寺院に足を踏み入れた。

…静かで、厳かな寺の中。

誰もいないのだろうか。

静寂に包まれている。

そしてその本堂には。

「こりゃすげぇ…」

1000躯もの千手観音立像が、10段の階段状の長大な仏壇に安置されていた。

ヒノモトにも、仏を崇める風習があるのだろうか。

厳格な雰囲気漂う本堂。

その千手観音立像の陰から。

「見つけたよ、リュー君」

ティグルは顔を覗かせた。

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