天神の系譜の奇妙なオムニバス
「面白いのかよ…」

愕然とするリュート。

持ち技としては、かなりの威力を誇る技だ。

東郷の乱で、東郷 隆盛を倒した技。

グリフィノー拳闘術の、奥義に据えようかと迷っていたほどの技だ。

そんな火影の型を、面白いと称するとは…。

「もうちょっと痛がるとか、怖がるとかしてほしかったんだよな…俺としては」

「痛かったよ、ほら、すっごい火傷したよ」

クルリと振り向いて背中を見せるティグル。

アマリリスが見たら卒倒しそうな、酷い火傷がそこにはあった。

「酷いなあ、リュー君は。だから」

ティグルは手にしたレーヴァテインを。

「ヴィゾーヴニル・キルド」

予備動作無しの横薙ぎで見舞う!

「っっっっっっっっ!」

咄嗟にガード…が間に合わない!

リュートの火影の型が黒い炎なら、ティグルのヴィゾーヴニル・キルドは純粋な真紅の火柱。

目の前が真紅に染まった瞬間、リュートは焼き尽くされていた。

「僕も本気出しちゃおう」

言葉とは裏腹に、ティグルはいつもとは違う、不敵な笑みを浮かべていた。

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