天神の系譜の奇妙なオムニバス
「お待たせしました」

声をかけられ、リュートはハッとする。

何時の間にか放課後になっていたらしい。

彼の後ろには、雪村が立っていた。

「生徒会の仕事が立て込んで、遅くなってしまって…待たせてしまいました」

「構わねぇよ、退屈しなかったし」

椅子から立ち上がるリュート。

「それでは、学生寮に案内します。それほど遠い距離ではないですから」

雪村に先導され、リュートは歩く。

「なぁ、アンタの弟の佐助…だっけ?今も付いて来てんの?」

「はい。物陰から物陰へ、身を隠しながら付いて来ています」

振り向きもせずに言う雪村。

「普通に隣歩いてくればよくね?」

「佐助曰く、『主君の隣を歩くなどと恐れ多い』らしくて…」

「主君て…兄弟だろ?」

「佐助にとっては、僕はそういう位置付けらしくて…」

変わった兄弟関係だ。

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