天神の系譜の奇妙なオムニバス
「言っておくが」

ヴラドは片手を掲げる。

「俺の魔術は精霊術のような精霊と対話し、その力を借り受けるようなものとは違う。いわば黒魔術!他者を呪い、欺き、謀り、翻弄し、殺傷する為に編み込まれた邪悪そのものだ。俺の世継ぎはダンドリッジがいるのでな、貴様らには俺の眷属として、人間社会の内から徐々に邪悪を浸透させ、混沌に導いていってもらう」

だからヴラド学園長自ら教鞭をとった訳か。

ノリノリだな。

「俺の魔術は詠唱なんぞ使わんハイレベルな上に、悍ましいものばかりだぞ。例えば理性を失い言語能力を失い複雑な思考ができなくなる代わりに能力値が上昇する『狂化』、死を厭わない生存活動、戦闘時、肉体の限界を無視して稼働し、際限なく速度を増していく『死滅願望』。無論、その果てにあるものは自滅だが、最期の数秒のみ、超一流の戦士に肉薄できる」

そんな人間の精神や肉体の侵食と引き替えの危険な魔術を、ヴラドは教える気なのか。

「無論だ、俺は生徒達の身の安全など顧みはしない!さあよく聞け生徒ども!まず貴様らに教えるのは!」

< 733 / 770 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop