天神の系譜の奇妙なオムニバス
雪村が靴に履き替え、リュートと共に外に出る。

「学生寮はこっちです」

雪村が歩き出そうとした時だった。

「あれ、生徒会長、今帰りですか?」

そんな声で、彼らは呼び止められた。

振り向いた先にいたのは、セミロングの金髪の女子生徒。

「…ベルさん」

雪村の表情が険しくなる。

「その人は…転校生ですか?」

リュートの方を見て、歩み寄ろうとする女子生徒だが。

「近づかないでもらいたい」

雪村はベルを遮るようにリュートの前に立った。

「おい何だよ雪村。別に俺ぁ構わねぇぜ?」

「…生徒会は学園長寄りの派閥です。という事は、学園長を狙う者は生徒会にとっても敵という事になります」

雪村はベルの顔を見た。

「彼女は高等部1年の橘 ベル…学園長が仰っていた、ダンドリッジ・タチバナを使役するマスターです」

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