天神の系譜の奇妙なオムニバス
「人間がいて、吸血鬼がいて、隠密がいて、俺みてぇな異世界からの人間もいる。でも争いもない、傷付け合う事もない。天神学園は、俺が来た時からずっと平和じゃねぇか」

リュートは、その場にいる者を1人1人見る。

「それを、ダンドリッジと学園長の喧嘩にかこつけて、やれ派閥だ近付くなだ…平和じゃなくしてるのは、お前ら自身じゃねぇのか?」

「……」

押し黙るその場の者達。

「俺も戦後に生まれた人間だから、あんまり偉そうな事言えねぇし、よくは知らねぇけど…俺の住んでた世界は、祖父さんの祖父さんの代で大きな戦争があったらしくてよ…人間と魔族が分かれて争いが絶えなかったってよ。いっぱい血が流れたし、人死にも沢山あったってよ。その事を思やあ…」

リュートは雪村の顔を見る。

「この学園って奇跡じゃねぇの?俺はそう思うけどな」

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