【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「沙耶!」
名前を呼ばれ、振り返る。
携帯を片手に走りよってくるのは、相馬。
「何やってんの?私は……」
刹那。
彼の腕の中に包まれ、一瞬、息が止まる。
「Quindi, la questione viene presa a contattare l'altra parte……!」
まだ、通話中らしく、そう電話口で叫びながらも、片手で、私を抱き締める相馬。
抱き締められるのは、いいとして……
「……何語?」
何をしゃべっているかは、さっぱりである。
「イタリア語で、怒ってるんだよ。因みに、ちゃんと連絡を取れって言ってる」
流石、社長秘書。
聞いただけでわかるとか、尊敬レベルである。