【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「でも、そんな沙耶が欲しいから、わざわざ、一人にしないためにこっちにつれてこさせたでしょ?健気なもんだね、スケコマシが」
「……お前も、知ってるのか」
出会いの台詞を吐かれ、思わず、書類を落とす。
「俺の情報力を舐めないでよ」
「……さーせん」
それを拾う甲斐は、俺に書類を手渡して。
「……沙耶は、一人にしてはいけない。それは、俺が数時間一緒にいて、感じた感想」
甲斐も、感じたらしい。
薫や蒼生、千歳に澪、柚香が感じた感覚を……
「やっぱ、そうか……」
電話で、学校であったことを聞いた瞬間、沙耶を自分のもとにつれてこさせたかった。
誘拐でも、拉致でもなんでもいい。
自分が、汚名は着るから……沙耶を、見ていたかった。
けど、結果的にそれは沙耶を守るための行動だったとしても、沙耶は自身を責め、壊れることになる。
だから、夏休みが完全に始まった今日、健斗さんに確認を取り、了承を貰った上で、沙耶を連れてこさせたのだ。