【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
沙耶は丁度、暇しているらしかった。
考えてみれば、柚香も真姫もこっちに来ていて、沙耶は気軽に付き合える相手がいなかったのだ。
「……沙耶が心配だから、今日は仕事を頑張るんだろ?夏祭り、なんて、お前らしくないのにな」
甲斐の笑顔。
楽しくて、仕方がないという顔。
「……良いんだよ。沙耶が、笑ってくれるのなら」
例え、鬼畜甲斐に虐められようと。
仕事に押し潰され、殺されかけようと。
頑張ってみようじゃないか、愛した女のために。
前世で出来なかったぶん、努力してみようじゃないか。
「……相馬、また、変わったね」
鬼畜な笑みではなく、慈愛に満ちた表情でこちらを見てくる甲斐。
俺を知っている、唯一の人間。
「俺は、わかんねぇけど……」
自分で自覚する変化は、女遊びをやめたこと。
「他にも、変わったところがあるなら、それは……」
自覚がなかったとしても。
それは間違いなく、
「沙耶のお陰だ」