【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
昔々、綺麗なお姫様が、豪奢な着物に身を包み、桜の木を見上げていました。
お姫様は言いました。
『この花は、この世界にはたくさんあるんだね』と。
彼女のとなりに控える男性は、美しいお姫様を眺め、頷いて。
『儚い美しさを持つ花……“桜”というらしい』
『“桜”?武に秀でていたと言われる、桜武皇后……紅鈴様とおんなじね』
夜空で輝く、月。
それは、二人の目を奪う。
『――この世界にたどり着けたのも、何かの縁。我が国を護りし、守護聖よ、巫女よ。どうか、安らかなる長き眠りにつかれんことを』
お姫様は、跪く。
『我、ここに封印せん。巫女の目覚めし、その日まで』
お姫様の力は、“風”。
お姫様の祝詞までは、守護聖だったものは、深く、深く、頭を下げて。
『ご立派でございました……最後の巫女』
と、呟いた。