【完】☆真実の“愛”―君だけを―2

そんなこんなで廻り始めて、三時間。


「んー、美味しい~」


横でかき氷を満足そうに食べて笑っている沙耶は、なんの脈絡もなく、聞いてきた。


「……そういや、相馬は京都だよね。大学」


「ああ、姉さんにそういわれてっから」


高校三年の夏。


ぶっちゃけ、もうすでに働いているから、大学なんていかなくても良い気がするが、それでは、姉がうるさい。


「いつも思うけど、お姉さんには弱いよね。あんた」


「怖いんだよ。怒らせたら。…まぁ、総一郎兄さんの方が怖いけど」


「そんなの?話を聞く限り、怒ることがない人みたいだけど……あ、イカ焼き食べたい!」


相変わらずのマイペースさ。


屋台の方へ走っていく沙耶の顔に笑顔が絶えず、その笑顔が偽りでないと良いと願う。

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