【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



「京都ね……」


生まれ育った街。


本来、いるべき街。


前世の関わりが深く、謎解きではまだ、しなければならないことが沢山ある街。


だから、抵抗はなかった。


京都の大学に通うことに関しては、全く。


蒼繚華の大学へ行くつもりだった。


何の拘りもなかった。


どうでもよかった、自分の人生。


両親はおらず、人の愛し方なんて知らなかった。


そんなどうでも良かった、放棄し始めた人生を、初めて自分の意思で、生きていきたいと思えた。


護りたい人ができた。


――……沙耶に出会って。


自分でも驚くほど、深入りしてしまった相手。


最初は、病を治すためだった。


彼女を死なせたくなかったから。


けど、そんな感じで始めた関係は、今なおも、俺の判断だけで続き、沙耶はそれに付き合ってる。


そんな彼女に、今や、溺れきってどうすればいいかわからない。


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