【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



「――……いるよ」


繰り返される、彼女からの贈り物。


「私がどこにいようが、何していようが、私は相馬の味方だよ?」


愛しくて、愛しくて。


心から欲する娘に自分は何を望んでいるのか。


腕の中にいるはずなのに、悲しくなるのは、虚しくなるのは……


(ああ、そうか……)


俺は、沙耶の身体が欲しいんじゃない。


それらを、すべて含めた心が欲しいのだ。


「……相馬?」


何度、キスしても、彼女は怒らない。


すべてを託してくれている、この俺に。


「……ごめんな……」


呟いた言葉は、弱々しかった。


彼女の前では、弱くなってしまう俺。


「うん?何が?」


この笑顔を見れば、何もかもがどうでもよくなる。


もし、時間を戻せるならば。


治療のためとか言って、沙耶に触れた、あの頃の愚かな俺に言って欲しい。


馬鹿な真似はするな、と。


後で後悔する、と。

< 123 / 759 >

この作品をシェア

pagetop