【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


「大丈夫。素直も良いこと!」


「……はぁ」


ポン、と、肩を叩く。


それでため息をついた相馬は、私の頭をくしゃりと撫でる。


「……最近は、飯を食ってるのか?」


徹底的に話題から逃げたいのか、なんの脈絡もなく、相馬は訊ねてきた。


「んー、食べてるよ」


「……その言い方は……食ってないんだな。入院で、体重、落ちたんだろ?ちゃんと、食えよ」


「…………食べてたってば。サラダと果物」


暑すぎて、食べる気になれず、夏休みに入ってからはそんなものしか食べてない。


けど、お母さんも同じ感じだし、食べれない時に無理して食べるのは、食材に失礼だと思う。


「体重は?」


「……三キロ落ちました」


ここまで、なんの躊躇いもなく、女の子に体重を聞いてくる男がいるだろうか。……いや、いない。


だからと言って、私は、恥ずかしがる女でもないが。


「ちゃんと食えって、言ってるだろ?」


「えへへ」


「笑って誤魔化すな」


「えー」


落ちたって言っても、52キロから49キロになっただけだ。


調べたところ、163センチの人間でいうところのモデル体型らしいから、まだ、大丈夫。


「大丈夫って!お母さんも、そんな感じだし!」


父さんに出逢うまでのゴタゴタのせいで、少食の母さんは165センチにして、50キロという人だ。


病院に行った方がいいと言われ、見せるけど、別にたいして変わりはない。


もしかしたら、夏だから、余計に食欲が落ちて、また、減少しているかも。


「……やっぱ、“異常”だな」


「えぇー?でも、相馬におごってもらったご飯は、すっごく美味しかった!あれだったら、いくらでもいける!」


「奢るときは、異常に食うもんな、お前」


「美味しいんだもん……仕方ないじゃん」


「……分かった、分かった」


まるで、お母さんのようだ。


ここまで、体のことについて注意を受けるのは、病院に行ったときぐらいである。


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