【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



相馬と別れ、使用人さんに案内されるまま、浴衣を脱がせてもらった後、皆が集まっているという、広間に行ってみると。


「沙耶!」


国宝級の笑顔を持つ、京美人に迎えられた。


「あ、京子さん!」


入院中に、急に現れた相馬の姉であり、御園家長女の京子さんだ。


「無事に、相馬と会えたんやな。浴衣も、よう、似合っとった」


相馬と似ているかと聞かれれば、似てない方だと思う。


相馬とはまた違う、美しさだ。


「わざわざ、有難うございました。相馬から聞いたんですけど、買ってきて下さったのでしょう?」


さっきまで着ていた浴衣を買ってきてくれたのは、彼女。


頭を軽く下げると、京子さんはニッコリ笑って、言った。


「沙耶は、可愛いからええんや。ほんま、妹になりひん?毎日、可愛がってやる」


「……確かに、京子さんみたいなお姉ちゃん欲しかった気がします」


考えてみれば、簡単なことではあるが、京子さんと姉妹になるということは、御園兄弟の誰かと結婚しなければならないという事だ。


京子さんのことは好きだし、相馬のことも好きだけど、一生涯、結婚するつもりはないから、それは永遠に叶わない。



 
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