【完】☆真実の“愛”―君だけを―2



「――……本当なの?」


好きな子がいるなんて。


はじめて聞いた。


だって、好きな子がいるのなら、私を救っている場合ではないではないか。


「……相馬を落とすなんてよっぽどなんだね。その人」


容姿、才知、人気…何が揃っても、見向きもしなかった相馬が惚れる人ってどんな人なんだろう。


「相馬がなぁ~」


その輪の中に、ちゃっかし、京子さんも混じってくると、ニヤリと笑った。


好きな人の幸せを、私は祈る。


それが、決めていたことだから。


私は自分の気持ちとは裏腹な、もうひとつの気持ちをさらけ出した。


「吃驚ですよね!本気で好きな子がいるなんて!……で、告白は?攻めないの?得意じゃん」


「………」



話したくないのか、徹底的に相馬は黙る。



「この頃、女の人たちと遊んでないと思ったら、本命か!忙しいだけかと思ってた!なるほど~でも、私と遊んだら、あんたの努力も水の泡じゃん。気を付けなよ。女の子は繊細なんだから」


これは、思っていることだから、言っても辛くはない。


私が辛いのは、相馬がうまくいったとき、その女の子と歩いている姿を見ることだ。


「いや……繊細では、ない……かな?」


もう、自棄だと言うように、話し出す相馬。


「何で、そんな自信なさげなのさ。堂々といけばいいじゃん。顔はいいんだし」


「……」



「相馬は優しいから、大丈夫だよ!女遊びさえ、しなければ。実家も、顔も、性格も好条件だし。ところで、どんな子?私の知り合い?ってか、うちの学校?年上?年下?あ!もしかして、同級生とか!?」


「……」


「何で、無言なのさ。ま、話したくないならいいんだけど。本当に自信がなさそうだよね。自信持っていいと思うよ?なんなら、手伝おうか?」


「……」 



どうやら、手伝われてはまずい相手らしい。


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