【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
現在、御園のトップは京子と相馬だ。
彼らが引けと言ったら、年上の俺らでも引かざる得ない。
それだけ、当主は”絶対的“な存在である。
だから、俺らは言うのだ。
甘えることを知らない、甥姪に。
何かあったら、言え、と。
それは即ち、当主として命じろということになる。
「……なぁ、ひいおばあさまの話をしてくれん?」
そんな京子は、甘えることは知らない。
昔、唯一、愛した男に甘えていたそうだが、その男も家の都合で消えてしまった。
京子には、幸せになってほしいと願う。
いや、京子だけじゃない。
総一郎にも、水樹にも、氷月にも、勿論、相馬にも。
「良いよ」
京子は、先祖をとても大事にする。
俺たちの母、千波のことでもそうだが、彼女は俺たちの祖母であり、気の強かった涼夏さんの大ファンなのである。