【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
陽向と莉華は同い年だから、良いとして……俺は、7歳も下の妻、魅雨に振り回されっぱなしだ。
抱き寄せると、落ち着く。
何十年という時を共にいて、数えきれないくらい、この腕に抱いた女。
「どうした、陽希」
ぐしゃぐしゃと、髪を撫でられる。
されるがままは、嫌いじゃない。
けれど。
「っ……!」
流石にこれ以上、姪の前で失態を晒すわけにはいかないので、魅雨を強く抱き締め、動きを封じてやった。
「紗雨たちは?」
「紗雨(さう)も、緋雨(ひう)も、雨希(うき)も、魅陽(みはる)も、皆、それぞれの家族のもとへ戻っていったわよ」
魅雨の言う、四人は俺と魅雨の子供である。
一番上の紗雨は、今年、26歳になる。
末っ子の魅陽が、今年、13歳だ。
「そうか……」
別段、子供たちが恋しいとか、寂しいとかではない。
単純に、魅雨との時間を邪魔するやつらが消えたかどうか、知りたかっただけである。
「ふふ、伯父さんたちもそんな顔をするんやな。ええもん、見してもろうたわ」
京子は笑いながら、立ち上がる。
「涼夏さんの話、また、後で聞かせてな」
着物を着こなす、姪。
「どこにいくんだ?」
尋ねれば。
美しく、彼女は微笑んだ。
そして、一言。
「仕事や」