【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「……何もないのなら、良いんだよ?」
花のように笑う裏に、燃えるような苛烈さを秘める愛した人。
人を愛することを、
孤独ではないことを教えてくれた女。
生まれつき、体が弱い沙耶は、結婚しないと言った。
女の子なら、誰もが夢見るものを沙耶は諦めていた。
「相馬、食べな?」
欲しくて、欲しくて。
軽口で言った言葉が、今、返ってきた。
――…最悪な形で。
「沙耶」
「ん?」
細すぎる肩を抱き寄せる。
どうしても欲しいのに、手が出せない。
いつからだろう。
こんな気持ちを持ち始めたのは。
「相馬……?」
「沙耶」
「んー?」
力強く抱き締めても、彼女は笑う。
「本命がいるのに、こんなことするから……」
「は?」
「駄目だよ、誤解されたらおしまいだって言ったでしょ?気を付けないと……」
沙耶が言葉を切ったのは、額に口付けたからだ。
「そうだな……」
「そうだな、って」
そっと、口を塞いだ。
大事にしたいはずの存在。