【完】☆真実の“愛”―君だけを―2


『京子はどこにも行かないわよね?お母さんの側に、ずっといてくれるわよね?』


耳にこびりついた声が、頭から離れない。


『和子を頼んだぞ。……京子』


ずっと、ずっと、頭の中で木霊する。


『家は、お前が守るんだ』


逃げられないのだ。


どこまでも。



『京子?具合、悪い?』


それでも、頑張った。


家は、私が守らなくちゃいけないんだから。と。


母さんは死んだ。


親戚の力は、母さんの遺した命令により動けない。


ならば。


私が相馬を守らなくちゃならない。


母親を失ってから、笑顔をなくした弟を、体の弱い兄の代わりに守らなくちゃ。


変な、使命感。


私は、何がしたかったのか。


気遣ってくれる悠兄との時間もまともに設けられず、決して、自分に全く非がないとは思ってないけれど……ある日、悠兄は姿を消した。


私が、20歳のときだった。


知り合いによると、都内の方でのよう時を済ませてくるということだったのだが……


いなくなって、5年。


流石にもう、諦めていた。


それでも、恋心は消えてくれなくて。


あの日、憧れから、恋心に変わらなければ。


何度、そう思ったことだろう。


そして、現在。


私は目の前の状況に、ひどく戸惑っていた。

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