【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「お茶、どうぞ」
湯気のたつ、お茶。
お盆ごと差し出した彼女は、きれいにお辞儀した。
「初めまして、千羽氷雪(ひせつ)です。えっとねー、千歳たちの母親です」
青色の着物を纏った、若干、甲斐さんに似ている人。
なんて、若いんだ。
「……若すぎないですか?」
本気で、若すぎる。
妖怪であることが、勿体無いくらいに。
「まぁ、人間とは、時の流れが違うし?」
お茶目に言うと言うことは、彼女は人間ではないのか。
「生粋の雪女なのよ。だから、暑いものが苦手で。ごめんなさいね」
「あ、そうなんですか?それなのに、わざわざ、ありがとうございます」
それなのに、熱いお茶を次いできてくれて……優しい人である。