【完】☆真実の“愛”―君だけを―2
「そうなんですか?」
「そうなんですよ……ってか、そうだ。相模、甲斐、千歳」
「はい」
「なんですか?」
「なんだよ?」
思い出したように、息子を振り返る。
息子たちは、それぞれが首をかしげ、父親の顔を見た途端、顔色が変わった。
「……かっこいいでしょ」
「え?」
「相模たち」
旦那ラブな澪は、幸せそうに旦那の背中を眺める。
「仕事って……千歳もですか?」
「まあ……ね。一応」
煮えきらない、澪の返事。
なにか、あったのだろうか。
「……ごめん、柚香。待たせて」
「あ、ううん!」
澪が元気じゃないなんて、珍しい。
そんなことを思っていると、千歳が話を終え、私の方へと歩み寄ってきた。
「千歳、俺は紗夜華を病院に送り届け次第、調べる。だから、お前も用心しとけよ。結界の張られた、病院にいる、桜や紗夜華はまだしも……巫女は、狙われる」
「分かってる」
甲斐さんの忠告に、深く頷く千歳。
(巫女って……)
「……なにか、あった?」
「ん。ちょっとね。でも、大丈夫。柚香は、守るから」
私を安心させるためなのか、私の頭を撫でる千歳。
「護身術を習っていたから、多少のことは大丈夫よ?千歳も、自分の身を大事にしてね?」
そんな彼の手を握って、そう言えば。
「うん」
穏やかな笑顔が、視界に広がった。